
北マケドニア地方選、与党VMRO-DPMNEが圧勝
10月19日、北マケドニア全土で地方選挙が実施された。国家選挙委員会の速報値(開票率99.98%時点)によると、国政与党の中道右派政党である内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党(Внатрешна македонска револуционерна организација – Демократска партија за македонско национално единство, ВМРО–ДПМНЕ/VMRO-DPMNE)が、全81自治体のうち53自治体で首位に立ち、大きな勝利を収めた。特に30以上の自治体では第1回投票で過半数を獲得し、市長職を確保する見通しとなっている。首都スコピエ(Skopje)でも同党候補が首位に立った。投票率は約48%で、2021年の前回選挙(約50%)から微減した。過半数に達しなかった自治体での第2回投票は11月2日に実施される。
VMRO-DPMNE党首のミツコスキ(Христијан Мицкоски)首相は19日夜、「勤勉と忍耐でこの勝利を確実にした」「有権者は話すことではなく、働くことに専念する候補者を選んだ。これは新しいマケドニアのエネルギーの始まりだ」と勝利を宣言した。また、ミツコスキ首相は、野党であるアルバニア系政党・統合民主連合(Bashkimi Demokratik për Integrim, BDI/DUI)の民族中心主義的な選挙運動を非難し、「この選挙はDUIへのメッセージだ。アフメティ(Ali Ahmeti、DUI党首)の時代は終わった」と述べた。
一方、最大野党の社会民主同盟(Социјалдемократски сојуз на Македонија, СДСМ/SDSM)は、8つの小規模な自治体でリードするにとどまり、惨敗を喫した。過去20年間の牙城であったストルミツァ(Strumica)でも第1回投票でVMRO DPMNEに敗北し、かつての拠点クマノヴォ(Kumanovo)では第4党に転落した。首都スコピエでは、SDSM候補のシュコヴァ(Каја Шукова)氏が3位となり、第2回投票に進めなかった。スコピエではVMRO-DPMNEのゲオルギエフスキ(Орце Ѓорѓиевски)氏が首位に立ち、左翼党(Левица)のメツィノヴィッチ(Амар Мециновиќ)氏との決選投票に臨む。SDSMのフィリプチェ(Венко Филипче)党首は、「望んでいた結果ではない」と敗北を認めつつも、一部の自治体での得票増を指摘し「党再建の始まりだ」と述べ、辞任を否定した。
人口の約4分の1を占めるアルバニア系住民が多数派の自治体では、激しい競争が繰り広げられた。国政連立与党の一角であるアルバニア系政党連合VLENは、第1回投票で5つの自治体で勝利したほか、他の4自治体でもリードしている。一方、長年アルバニア系政党の雄であった野党のDUIも5つの自治体で第1回投票での勝利を確保したが、リードしている自治体はなく、主要都市ではゴスティヴァル(Gostivar)での勝利にとどまった。特に象徴的な選挙区とされたスコピエのチャイル(Cair)地区では、VLENの指導者の一人メジティ(Izet Mexhiti)氏が、DUIの副党首であるオスマニ(Bujar Osmani)氏を破ることが確実となった。オスマニ氏はSNSで敗北を認め、メジティ氏に祝意を表した。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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