
セルビア政府、物価高騰対策で小売業者の利益率に上限設定へ
8月21日、セルビアのマーリ(Siniša Mali)財務大臣は、新たな経済対策の一環として、国内の小売業者が設定する利益率(マージン)に上限を設ける計画を明らかにした。これは、近年続く基礎的な食料品の価格上昇から国民の生活水準を保護することを目的とした措置だとされている
マーリ財務大臣は同日、セルビア商工会議所(Privredna Komora Srbije)で国内の主要な小売チェーンの代表者らと会合を開き、政府の方針を伝えた。来週にも閣議に提出される予定の新たな規制案では、小売業者の利益率を最大20%に制限することが提案されている。マーリ大臣は自身のInstagramアカウントへの投稿で、「賃金、年金、最低賃金はインフレ率を上回って継続的に上昇しているが、政府はさらなる方法で国民の日常生活を緩和すべきだと考えている」と述べ、今回の措置の必要性を強調した。
この利益率制限は、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領が近日中に発表を予定している新たな経済対策パッケージの主要な柱の一つとされており、同パッケージには、より有利な条件での融資や金利の引き下げといった措置も含まれる見込みとなっている。
セルビアでは消費者物価の上昇が続いており、2025年7月のインフレ率は前月の4.6%から4.9%へと加速した。これは主に食料品価格の上昇によるものである。セルビア中銀(Narodna Banka Srbije, NBS)は、今年の年間インフレ率の目標範囲を1.5%から4.5%に設定しているが、年末にかけてはその上限付近で推移し、その後2026年にかけてインフレ率が低下していくとの予測を中銀は明らかにしている。
政府は、賃金上昇が物価上昇を上回っているとの認識を示しているが、今回の措置は、インフレが国民に与える直接的な影響を緩和するための断固とした対応と位置づけられる。
政府は今回の短期的な措置と並行して、年末までに主要な通商関連法を改正し、公正な市場競争、価格の安定、そして消費者保護のための長期的かつ持続可能な枠組みを構築する計画も進めている。セルビアの小売市場は、デルハイゼ(Delhaize Serbia)、メルカトル(Mercator-S)、リドル(Lidl)、メトロ(METRO Srbija)といった外資系企業や、国内資本のウニヴェルエクスポルト(Univerexport)などが大きなシェアを占めており、2024年のこれら大手小売企業の純利益合計は約127億ディナール(1億800万ユーロ)に達している。今回の新たな規制がこれらの企業の経営戦略に与える影響が注視される。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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