セルビアとコソボが相互のIDカードを用いた越境手続きを開始

9月1日、セルビア・コソボ間の検問所で、8月27日に成立した合意に基づき、相互のIDカードを用いた越境手続きが開始された。

これまでセルビア政府はコソボ政府が発行したIDカードの有効性を認めておらず、セルビア側へ越境しようとするコソボ政府発行IDカード所持者に対しては、セルビア国境警察が検問所で発行する書類の携帯が義務づけられていた。今回の合意に従い、この措置は撤廃され、コソボ政府発行IDカードを用いたセルビア側への越境が認められることになった。

合意の実施に際し、セルビア・コソボ間検問所のセルビア側には、「プリシュティナ当局発行のIDカードの使用は、個人の立場を容易にし、2011年のセルビア・コソボ間合意に基づく移動の自由を可能とするという実践的(practical)な目的にのみ認められるものであり、コソボの一方的独立宣言を認めるものではない」と表記された看板がセルビア政府によって設置された。

複数のセルビア及びコソボメディアの報道によれば、コソボ北部のヤリニェ(Jarinje)検問所では、コソボ警察に加えて、NATOが主導する多国籍軍であるコソボ安全保障部隊(KFOR)の要員が展開し、合意履行開始前後の状況を注視していたとされている。

合意の履行際してセルビア・コソボ間の各検問所で大きな混乱等は見られず、比較的平穏な状況が維持されている。

セルビア・コソボ間では、越境時のIDカードの使用の問題に加え、コソボ領内での車両登録とナンバープレートの扱いも大きな懸案事項となっている。コソボ政府は、これまでセルビア系コソボ住民が使用してきたセルビア政府発行ナンバープレートをコソボ政府発行のものに付け替えるよう求めており、そのための移行期間が9月1日より開始された。クルティ(Albin Kurti)コソボ首相はこの日、セルビア系コソボ住民に対し、10月31日までの手続き完了を改めて呼びかけた。

セルビア・コソボ間の仲介役を務めるEUのライチャーク(Miroslav Rajčák)特別代表は、ナンバープレート問題について、10月末までに何らかの解決策に合意することを目指し交渉を継続する意向を示している。

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