JICA代表団がセルビアを訪問:セルビアはビストリツァ揚水発電所建設への期待を表明

9月19日、国際協力機構(JICA)代表団がセルビアを訪問し、鉱業・エネルギー省代表者等との会談を行った。

鉱業・エネルギー省プレスリリースによれば、同省のヨヴァナ・ヨクシモヴィッチ次官補は、「エネルギー転換を進めるセルビアにとってJICAとの協力は極めて重要である」と述べたうえで、現在建設が計画されているビストリツァ揚水発電所は、セルビアにとって約40年ぶりに新規建設される揚水発電所となる予定であると指摘しつつ、2027年のベオグラード万博開催に向けてヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領が掲げている「未来への飛躍:セルビア2027」プログラムにとって、同事業は最も重要な要素の一つであると強調した。

ヨクシモヴィッチ次官補によれば、656メガワットの発電容量を有することが予定されているビストリツァ発電所は、エネルギーの貯蔵や再生可能エネルギー源のセルビア電力体系への組み込みにおいて重要な機能を果たすとされている。同次官補は、「豊富な経験と知識を有するJICAがこの事業にコミットしていることを非常に嬉しく思う」と述べた。

ヨクシモヴィッチ次官補はまた、日本の円借款事業として実施が完了した、ニコラテスラ火力発電所(TENT A)排煙脱硫装置整備事業について、「TENT A事業は、西バルカン地域における最大の環境案件であった。この設備の稼働によって、硫黄酸化物の排出量は以前の30分の1となり、火力発電による環境への悪影響は大きく軽減された」と指摘したうえで、「日本とのパートナー関係を継続し、来年には(TENT Aに隣接する)TENT Bでの排煙脱硫装置設置が完了することを楽しみにしている」と述べた。

これに対し、代表団長を務める遠山慶JICA中東・欧州部長は、「セルビアにとっての最優先事項であるビストリツァ水力発電所整備事業を成功裡に完了するため、JICAは必要な支援を提供していく」と述べた。

この日の会談では、日本政府が、ビストリツァ水力発電所整備事業のための円借款承認に向けた実現可能性調査の実施を承認したことが確認された。鉱業・エネルギー省側は、2025年後半にはプロジェクト本体部分の資金調達に関する最終的な決定が成されることを期待する旨述べている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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