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エルステ・グループ、セルビアの2025年GDP成長率予測を大幅に下方修正

11月18日、オーストリアを拠点とする金融大手エルステ・グループ(Erste Group)のアナリストチームは、最新の中東欧(CEE)マクロ経済見通しを発表し、セルビアの2025年および2026年の国内総生産(GDP)成長率予測を下方修正した。特に2026年の成長率に関しては、従来予想されていた4.3%から2.7%へと大幅な引き下げが行われており、地域内でも突出した修正幅となっている。

エルステ・グループによれば、今回の見通し修正の主たる要因は、2025年第3四半期のGDP速報値が期待外れの結果に終わったことにある。市場関係者の間では前年同期比2.4%の成長が見込まれていたが、実際の速報値は2.0%にとどまった。これを受け、エルステ・グループは2025年の通年成長率予測を2.0%へ、2026年については2.7%へと見直しを行った。同グループが対象とする中東欧8カ国のうち、クロアチアやチェコ、ポーランドなどの他諸国については予測の変更が皆無か小幅にとどまる中、セルビアのみが経済成長の鈍化を顕著に示す形となった。

報告書によれば、2025年8月以降の関税を巡る状況が明確化するにつれてセンチメントは落ち着くと予想され、外部環境自体は地域経済の足かせにはならないと分析されている。しかし、セルビアに関しては、以前より国際通貨基金(IMF)などの国際機関も慎重な見方を示していた。IMFは10月の時点で、セルビアの経済成長率を2025年に2.1%、2026年に3.0%と予測し、従来予測から引き下げを行っていたほか、エネルギー大手であるセルビア石油産業(NIS)への制裁問題が早期に解決されず、国内の政治的緊張が持続した場合には、経済活動がさらに弱含む可能性があると警告していた。

一方で、インフレ率に関しては鈍化傾向が続いている。エルステ・グループの分析では、セルビアの年間平均インフレ率は2024年の4.6%から2025年には3.9%へ、さらに2026年には3.3%まで低下すると見込まれている。このインフレ鎮静化に伴い、これまで高止まりしていた政策金利についても、2026年下半期には金融緩和の局面に入ることが予想されている。ただし、今年9月時点での分析では、地政学的緊張や過熱気味な国内信用活動を背景に、2025年内の利下げ余地はないとの見方が示されており、金融政策の転換には慎重なアプローチが維持される見通しが示されている。

セルビアの2025年経済成長率見通しについては、IMFに加え、11月17日には欧州委員会も2.2%への下方修正を発表している

(アイキャッチ画像出典:Dreamestime)

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