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ノヴィ・サド駅崩落事故から10ヶ月-高校生らが追悼デモを実施

9月1日、首都ベオグラードにおいて、高校生らが中心となり、16名が死亡した2024年11月のノヴィ・サド(Novi Sad)駅の屋根崩落事故から10ヶ月を迎えるにあたり追悼デモ行進を行った。この事故は、当局の汚職と怠慢が原因であるとの見方が広まっており、発生以来、学生主導の大規模な抗議運動へと発展している。

デモは「高校生は忘れない(Srednjoškolci pamte)」と銘打たれ、ベオグラードの旧中央駅前から開始された。行進に先立ち、事前に録音されたスピーチが放送され、その中で「我々はテロリスト、裏切り者、外国の傭兵と呼ばれ、同級生は警察に拉致された。平和的な抗議の最中に花火や催涙ガスを撃ち込まれた」と、抗議運動が始まって以降のセルビア当局による弾圧が非難された。

出典:Euronews Serbia

スピーチの後、犠牲者16名の名前が一人ずつ読み上げられ、16人の生徒が追悼の意を示す白いバラを掲げた。デモ隊は教育省、学生文化センター、憲法裁判所、セルビア国営放送(Radio-Televizija Srbije)などを経て、市の中心部にある共和国広場(Trg republike)を目指した。

この追悼集会はセルビア全土に広がり、事故現場であるノヴィ・サドの駅前や大学キャンパスでも開催されたほか、ヴルシャツ(Vršac)、クラグイェヴァツ(Kragujevac)、ニシュ(Niš)など他の多くの都市でも同様の集会が計画された。ベオグラードのデモは、2024年11月末から大学の占拠や道路封鎖を続けている大学生からも支持を得ている。

この日は、セルビアの小中学校で新学期が始まる日であった。しかし、セルビアの教育現場は2024年11月の事故に端を発する危機の中で新学期を迎えている。一部メディアの報道によれば、前年度にストライキや学校封鎖を支持した校長らが新学期を前に解任されたり、政権寄りの校長が抗議活動を支持した教員を罰したりする事例が報告されている。

こうした状況に対し、教員養成課程を有する国内大学10学部の学部長らは共同声明を発表し、「教育は完全な崩壊の危機に瀕している」と警鐘を鳴らした。声明では、教員不足、教育職への関心の急激な低下、そして「国家戦略の完全な欠如」といった構造的な問題が指摘され、「解決策が見えないまま、我々は不確実性と緊張、そして教育者への公然たる攻撃の雰囲気の中で新学期を開始する」と、教育現場が直面する深刻な危機的状況が訴えられた。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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