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巨額脱税疑惑で揺れる中国資本のアルバニア石油大手、CEOの逮捕受け新会長を任命

7月15日、アルバニアで最大の石油生産会社である中国資本のバンカーズ・ペトロリアム・アルバニア (Bankers Petroleum Albania, BPAL) は、同社を巡る大規模な脱税疑惑の捜査が本格化する中、アンドリヤ・コヤコヴィッチ (Andrija Kojaković) 氏を代表取締役兼共同会長に任命したと発表した。この人事は、アルバニア当局との対話を監督し、事態の収拾を図ることを目的としている。

この発表に先立ち、アルバニア南西部の都市フィエル (Fier) の裁判所は、BPALの現CEOであるシャオ・ホンピン (Hongping Xiao) 氏や元幹部のレオニダ・チョボ (Leonidha Çobo) 氏を含む9人の現・元幹部を逮捕し、さらに5人の中国人幹部を国際手配した。

参考記事

フィエル検察庁によると、BPALは過去20年間にわたり、同社が操業権を持つ欧州最大級の陸上油田パトス・マリンザ (Patos-Marinza) で発生した経費を組織的に水増し計上していた疑いが持たれている。これにより、同社は継続的に損失を申告し、法人税の支払いを完全に免れると同時に、不正に付加価値税 (VAT) の還付を受けていたとされる。検察は、これがアルバニア史上最大級の脱税・資金洗浄事件の一つであるとの見方を示している。

この危機的状況を受け、BPALはアルバニア当局との対話の責任者としてコヤコヴィッチ氏を招聘した。同氏はクロアチアの国営石油会社INAの元CEOや、駐中国及び英国クロアチア大使、欧州復興開発銀行 (European Bank for Reconstruction and Development, EBRD) 幹部といったポストを歴任するなど、エネルギー分野と国際外交の双方で豊富な経験を持つ人物である。BPALは声明で「状況の完全な解明に向けて当局に全面的に協力する」と表明している。

バンカーズ・ペトロリアム社は元々カナダの企業で、2004年にアルバニア政府と25年間の生産物分与契約を締結し、パトス・マリンザ油田およびクチョヴァ (Kucova) 油田の完全な開発権を取得した。その後、2016年に中国の石油・ガス会社ジオジェイド・ペトロリアム (Geo-Jade Petroleum Corporation) に買収されていた。

今回の事件は、国家の戦略的資産を運営する外国企業に対する監視体制の是非を問うものとなっており、捜査の行方とアルバニアの投資環境への影響が注目される。

(アイキャッチ画像出典:BANKERS PETROLEUM ALBANIA LTD.)

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