
セルビアの航空管制官が大幅賃上げを求めてストライキに突入
8月19日夜、セルビア・モンテネグロ航空交通庁(Serbia and Montenegro Air Traffic Services SMATSA llc、以下SMATSA)の最大労働組合である航空管制官労組(Sindikat kontrole letenja、以下SKL)は、一部職員の大幅な賃金引き上げを求め、ストライキに突入した。SKLの発表によると、ストライキは9月30日の午後11時まで続けられる予定だとされている。
SMATSAが20日に発表した声明によると、SMATSAは今回のストライキについて、航空会社や乗客の計画に深刻な影響を与え遅延や追加コストを発生させる一方的な決定であると非難している。さらに、この行動はSMATSAおよび設立国であるセルビアとモンテネグロにとって、大きな経済的損害をもたらすと同時に、その信頼性を損なうものだと指摘している。
SMATSAは、同庁に所属する航空管制官の平均月収が、セルビアの平均賃金を大幅に上回る約7,000ユーロに達すると主張している。セルビア統計局が発表した2023年10月のデータによると、同国の平均賃金(ネット)は86,738ディナール(約737ユーロ)となっている。
SKLはSMATSAの全従業員の半数以上を占める500名以上が加入しており、他の複数の組合もこのストライキに参加したことで、参加者はSMATSA全従業員の3分の2以上に達している。一方でSMATSAは、SKLがモンテネグロ国内で労働組合として登録されていないため、同国の管制官がストライキに参加することは違法であるとの見解を示している。
SMATSAは、航空交通が公共の利益に資する活動であることから、法律に基づき最低限の業務プロセスを維持し、ストライキによる影響を最小限に抑えるための必要な措置を講じていると説明している。また、SMATSA経営陣は今回のストライキを「不合理で根拠がなく、有害」であるとしながらも、対話を通じて問題解決に取り組む姿勢を維持している。
SMATSAは2003年に設立され、セルビアが92%、モンテネグロが8%の株式を保有している。両国の領空に加え、アドリア海の一部を含む広大な空域の管制業務を担っており、2024年には前年比10%増となる976,000便の計器飛行方式(IFR)フライトを記録していた。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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