西バルカン各国のPISA2022調査結果
12月5日、経済開発協力機構(OECD)は2022年に実施した国際学習到達度調査(PISA)結果を公表した。
PISAは原則として3年に1度、多くの国で義務教育終了段階に当たる15歳を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野についての学習到達度を測るためにOECDが実施している。当初は2021年実施予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響により2022年に延期され、その結果が公表されたもの。今回の調査はOECD非加盟国を含む81カ国で実施された。
新型コロナによる学校閉鎖などの影響により、世界的に前回(2018年)調査時よりも得点は低下しており、OECD加盟国全体の平均点でも3分野全てで前回より低下している。
西バルカンについては、ボスニア・ヘルツェゴビナを除く5カ国で実施された結果が公表された。各国とも世界的傾向と同様に前回よりも平均点が低下しており、また西バルカンの全ての国が全分野においてOECD加盟国の平均点を下回っている。ただし、セルビアでは読解と科学的リテラシーについて前回よりも平均点が上昇しており、3分野合計の平均点でも前回とほぼ同水準となっている。
一方で、アルバニアは他国よりも平均点の低下がより顕著となっているが、OECDはその理由として、新型コロナに加え2019年に発生した地震被害の影響により多くの生徒が学習環境の悪化に直面したことを挙げるとともに、「多くの生徒が、前回調査時に比べPISAに対して真剣に取り組んでいなかったと回答しており、今回調査結果の解釈については注意を要する」と指摘している。
前回に続き平均点が西バルカン内で最低となったコソボでは、OECDが定める最低水準の学習到達度(レベル1以下)の生徒が約80%に達しており、野党は教育大臣の責任を追求する姿勢を示している。
西バルカン各国の分野別平均点は次のとおり(括弧内は前回調査時の平均点)
読解 | 数学 | 科学 | |
セルビア | 440(439) | 440(448) | 447(440) |
モンテネグロ | 405(421) | 406(430) | 403(415) |
北マケドニア | 359(393) | 389(394) | 380(413) |
アルバニア | 358(405) | 368(437) | 376(417) |
コソボ | 342(353) | 355(366) | 357(365) |
OECD PISA 2022 results Country Notes
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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