TOYO TIREが欧州販売統括機能をセルビアに集約へ:R&D部門の一部も併せてセルビアへ移管

11月28日、TOYO TIREは、欧州における販売統括機能をセルビアに移転することを発表した。また併せて、ドイツにあるR&Dセンター機能の一部もセルビアに移管すると発表した。

TOYO TIRE社プレスリリースによれば、同社は、新たにToyo Tire Sales and Marketing Europe d.o.o. Indija(TSE)をセルビアにおいて設立し、2025年1月よりTSE社を通じて欧州市場おける販売事業を開始する。現在の欧州統括会社であるToyo
Tire Holdings of Europe GmbH(ドイツ)の販売統括機能を2025年中にTSEへと移管し、欧州におけるTOYO TIREの事業体制を再編する。この再編に伴い、ドイツ、オランダ、イタリア、英国の販売子会社は2025年以降、順次事業を停止する。

またTOYO TIREは、同社のセルビア工場敷地内にR&Dセンターを新設し、現在ドイツのR&Dセンターにある研究・開発機能の一部をセルビアに移管することも併せて発表した。

同社は、「ドイツへのR&Dセンター新設(2019年11月)を足がかりに、中期経営計画「中計’21」に掲げるグローバルでの成長戦略の一環としてセルビア共和国に新工場を開設(2022年7月)し、主力の中核市場である北米に向けた高付加価値商品の生産供給補完を果たすとともに、欧州市場に対する供給体制の再構築に取り組んできました」としており、今回、セルビアに販売統括機能とR&Dセンターを移管することで、「生・販・技の事業体制を一元的に集積し、欧州における事業経営基盤をさらに強固なものとするとともに、柔軟かつスピーディーな事業展開を志向」するとしている。

TOYO TIREは、2022年に約4億ユーロ(約500億円)を投じてセルビア北部のインジヤ市に自動車用タイヤ生産工場を新規建設し、年間約500万本のTIREを生産している。インジヤ工場の建設時には、テスト走行用のコースを鴟尾するなど、セルビアへの進出当初からR&D部門の併設を意識した事業展開がなされていた。

同社の清水隆史社長は、インジヤ工場開設当時の記者会見において、「セルビア工場では、最新の技術と設備、製造実行システムを導入して、生産管理の効率化を図ることで、コストパフォーマンスの高い製品をスピーディーに供給できるようになります。例えば、EV化に対応したタイヤ性能を引き出すために、欧州R&Dセンターで進めている最先端の材料技術を活用して、摩耗や転がり抵抗を抑えて、軽量化を図った高性能なタイヤを生産することも可能です。隣接するテストコースで実装評価することによって、ヨーロッパの細かく定められた法規制にも対応した商品開発をマーケットの動向を見ながら進めてまいります。欧州のお客さまに対して、地産地消で当社のタイヤをタイムリーでデリバリーできるという点と、供給が担保できるという点で、欧州での戦い方が大きく変わると期待をしています」と述べていた。

(アイキャッチ画像はTOYO TIRE社インジヤ工場、出典:Shutterstock)

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