ブチッチ大統領がNATO事務総長と会談

8月17日、ブチッチ(Aleksandar Vucic)セルビア大統領は、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長とブリュッセルで会談し、7月末に情勢が緊迫化したコソボ北部情勢について議論した。18日には、EUの仲介によるセルビア・コソボ首脳会談が予定されている。

会談後の共同記者会見において、ブチッチ大統領は次のように述べた。

セルビアの立場に耳を傾けてくれたストルテンベルグ事務総長に感謝する。

7月末に発生したコソボ北部での危機の際、セルビア軍参謀総長は私の指示に従いコソボ安全保障部隊(KFOR)司令官と連絡をとっており、これは事態の緊張緩和に対し重要な効果があった。我々は、国際法に従い国連によって定められたKFORの任務を尊重しており、地域の平和と安定を維持するためにKFORとNATOの理解を得ることは可能だと信じている。

明日(18日)、セルビアにとって困難な対話が待ち受けているが、セルビアは国際法、国連憲章及びブリュッセル合意及びその他の過去に署名された合意を遵守する。

セルビアは軍事的中立国であり今後もそうであるということを今一度指摘したい。我々は如何なる形であっても軍事ブロックの一部としての意思決定は行わない。セルビアは複雑で困難な歴史を辿ってきたが、これ以上の事態の悪化と紛争を防ぐために、KFOR及びNATOとの関係強化を望んでいる。

セルビアは地域の平和と安定を望んでおり、如何なる形の挑発も行ってはいない。

セルビア国民及びコソボに暮らす我々の同胞にとって重要なことは、本日、我々の立場を説明し、コソボ北部へのコソボ警察特殊部隊の侵入の記録を提示したことである。コソボ北部へ特殊部隊が入る場合、北部のセルビア系4自治体の首長及びNATOの同意が必要とされているが、コソボ側はそれを守っていない。また、コソボ全土で発生しているセルビア系住民を対象とした攻撃や事件のリストも提示した。

一方、ストルテンベルグ事務総長は次のように述べた。

コソボ北部での最近の情勢について議論する機会を得たことを歓迎する。現地の情勢は改善しているが、両当事者が自制し暴力を避けることが重要である。NATOは情勢を注視しており、安定が脅かされることがあれば、国連から付与された任務権限に従って介入する用意がある。

明日(18日)行われるEU仲介によるベオグラード・プリシュティナ間対話において、両当事者が善意に基づき対話することを求めたい。この対話は全てのコミュニティの権利を尊重する解決策を見出すためのプラットフォームである。

NATOはセルビアとの長きにわたるパートナーシップを重視しており、西バルカン地域における平和と安定の維持という目的のため、今後もセルビアと協力していきたい。

この会談ではウクライナ情勢についても議題になったとされ、これについてストルテンベルグ事務総長は次のように述べた。

ロシアによる正当性の無い攻撃に反対するという点で国際社会が一致し、ロシアの行動を終わらせることが重要である。ロシア軍によるザポリージャ原発接収は、原子力施設の安全に対する重大な脅威であり、原子力災害のリスクを高め、ウクライナとその隣国、国際社会の人々を危険に晒している。原発施設に対する国際原子力機関(IAEA)による査察とロシア軍の撤退が一刻も早く必要である。

セルビア大統領府プレスリリース(セルビア語)

NATOプレスリリース(英語、記者会見音声ファイル含む

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