
セルビア全土で前倒し総選挙を求めるデモが発生
6月1日、昨年北部の都市ノヴィ・サド(Novi Sad)で発生した鉄道駅での死亡事故から7ヶ月を迎えたことを機に、セルビア全土の30以上の都市で早期議会選挙を求める抗議活動が一斉に行われた。
この全国的な反汚職デモは、昨年11月1日にノヴィ・サド駅のコンクリート製天蓋が崩落し16名が死亡した事故を受け、学生たちが主導して開始したものである。当初、学生たちは要求が非政治的なものであると主張していたが、先月に入り、国内の政治的危機を解決するために早期選挙の実施を要求するに至った。
公共放送RTS(Radio Televizija Srbije)によると、日曜日に抗議活動が行われた全ての都市で学生たちの声明が読み上げられた。「合理的な期間内に選挙が実施されない場合、我々が半年前に起こした波はますます大きくなり、いずれ全ての人に届くだろう。我々は市民の意志を無視するシステムの正常な機能を許さない。市民を妨害するのではなく、嘘、不正、そして汚職を妨害する」と、集会参加者らは市民的不服従の拡大を示唆した。ノヴィ・サドでの集会では「駅を通り過ぎるたびに自問する。どうして彼らがまだ権力の座にいるのか?」とする声明が述べられ、事故に対する根強い怒りが示された。
抗議活動を政権転覆の試みと繰り返し批判してきたアレクサンダル・ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、金曜日に東部の都市ザイェチャル(Zaječar)を訪問した際、2027年にベオグラードで開催予定の「2027年国際博覧会(Expo 2027)」の準備が完了次第、早期議会選挙を実施するとの意向を示したが、具体的な時期については明言を避けた。地元日刊紙ブリッツ(Blic)によると、与党セルビア進歩党(Srpska napredna stranka, SNS)の創設者の一人であるヴチッチ大統領は、「我々は彼らに圧勝するだろう」と語った。
6月1日の抗議活動では、ベオグラードの2つの橋が午後6時から午後9時16分まで封鎖されたほか、近隣のパンチェヴォ(Pančevo)市や西部のシャバツ(Šabac)市でも橋が封鎖された。
セルビアの議会選挙は2027年に予定されているが、直近では6月8日に行われるザイェチャル市および西部の町コスイェリッチ(Kosjerić)の地方選挙が、与党と反政府勢力との象徴的な戦いの場として注目されている。ヴチッチ大統領がザイェチャルで「責任ある未来のために投票してほしい」と支持を訴える一方、学生たちは両市の市民に野党への投票を呼びかけている。
学生主導の抗議活動は、SNS党首であったミロシュ・ヴチェヴィッチ(Miloš Vučević)氏が1月に首相を辞任し、4月にジュロ・マツット(Djuro Macut)氏を首班とする新内閣が発足するなど、すでに具体的な政治的成果を上げている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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