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北マケドニアとブルガリアが国境鉄道トンネル建設で合意 ― 汎欧州回廊VIII号線の完成に向け前進

7月17日、北マケドニアとブルガリア共和国は、両国を結ぶ国境鉄道トンネルの建設に関する二国間協定の締結に向けて最終合意に達した。この合意は、欧州委員会(European Commission)が主催した会合で確認されたもので、長年の懸案であった汎欧州回廊VIII号線(pan-European Corridor VIII、通称「コリドー8」)の東側区間の完成に向けた重要な一歩となる。

欧州委員会プレスリリースによれば、会合には、北マケドニア運輸省のステファン・ヴォルカノフスキ(Stefan Volkanovski)次官、ブルガリア運輸通信省のリュベン・ナノフ(Lyuben Nanov)副大臣らに加え、仲介役としてヴァレンティナ・スペルティ(Valentina Superti)欧州委員会拡大・東方近隣政策総局(DG ENEST)西バルカン課長が出席した。

両国は、2025年7月末までに二国間協定の文案を最終化し、同年秋の署名を目指すことで一致した。協定の署名により、2026年初頭の建設工事開始への道が開かれることになる。

この共同プロジェクトは、ブルガリア側のギュエシェヴォ(Gyueshevo)と北マケドニア側のデヴェ・バイル(Deve Bair)を結ぶ国境トンネルの建設を目的とする。建設は、北マケドニアが提出した既存の技術設計に基づいて進められる。両国は作業部会を設置し、協定に盛り込まれる技術、財政、建設、運営面での具体的な責務を定める。また、建設資金については、欧州連合(EU)や他のパートナー金融機関に共同で支援を要請する方針を確認した。

汎欧州回廊VIII号線は、アルバニア共和国のアドリア海に面するドゥラス(Durrës)港から、北マケドニアを経由し、ブルガリアの黒海沿岸のヴァルナ(Varna)港までを結ぶ東西の重要な輸送路となっている。この鉄道網の完成は、西バルカンと東地中海を結ぶ欧州輸送回廊の一部を形成し、地域の経済発展と貿易の促進に不可欠とされている。

北マケドニア側では、国境に至る最後の区間であるクリヴァ・パランカ(Kriva Palanka)からトンネル入口までの鉄道建設について、2025年末までに入札を再開する目標を掲げている。この区間については、2023年12月に行われた入札が、約24kmの非高速鉄道に対して5億6,000万ユーロという計画は非現実的で費用過多であるとして中止されていた。なお、国内の他の区間のうち、クマノヴォ(Kumanovo)ーベリャコフツェ(Beljakovce)間は2025年1月に開通しており、ベリャコフツェ―クリヴァ・パランカ間は現在建設が進められている。

一方、ブルガリア側では、ギュエシェヴォから国境トンネル入口までの区間の建設工事に関する入札が2025年7月に開始されている。

このプロジェクトは、EUの「グローバル・ゲートウェイ(Global Gateway)」戦略における旗艦プロジェクトにも位置付けられており、EUから多大な財政支援が提供されている。会合に参加した欧州投資銀行(European Investment Bank, EIB)は、技術的な議論の促進や助言サービスの提供を申し出ており、プロジェクトの実現に向けた国際的な支援体制が整いつつある。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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