ナンバープレート問題についてセルビア・コソボ間での暫定合意が成立:コソボがEU提案を受入れ
11月23日、ブリュッセルにおいて、セルビア・コソボ間の懸案となっていたセルビア側発行ナンバープレートの問題についてのベオグラード・プリシュティナ間対話首席交渉官交渉が行われた。その結果、コソボ側がEUの提案した暫定解決案を受け入れたことで合意が成立した。ボレル(Josep Borrell)EU外交安保政策上級代表が自身の公式Twitterアカウントを通じて発表した。
首席交渉官交渉は、セルビア側よりペトコビッチ政府コソボ・メトヒヤ庁長官(Petar Petković, Director of the Office for Kosovo Metohija)、コソボ側よりビスリミ第一副首相(Besnik Bislimi, First Deputy Prime Minister)が出席し、EU側よりライチャーク特別代表(Miroslav Lajčák, EU Special Representative for the Belgrade-Pristina Dialogue and other Western Balkan regional issues)が出席し仲介役を務めた。
コソボ北部では多くのセルビア人住民がセルビア政府が発行したナンバープレートを使用しているが、これを違法だとするコソボ政府は、コソボ政府発行のナンバープレート使用を義務づけるとして、11月21日よりセルビア側ナンバープレート使用車両に対する罰金徴収を開始することを発表していた。
問題の打開策を模索する欧米はセルビア、コソボ両者に対し働きかけを行い、11月21日にはボレル上級代表が仲介役を務めるセルビア・コソボ首脳会談が開かれたが、コソボ側がEUの提案した解決案の受入を拒否したため合意は不成立となっていた。
EUの提案は、コソボ側がナンバープレート付け替えに関する措置の実施を当面の間は中止する一方、セルビア側はコソボ領内の自治体略記やコソボ全体を指す「KM」表記のナンバープレートの新規発行を中止する、というものであり、21日の首脳会談において、セルビア側はEU案を受入る意向を表明していた。
今回の合意成立により、ナンバープレート問題に起因するセルビア・コソボ間の緊張関係悪化は当面避けられる見込みだが、EU案は恒久的な解決策にはなり得ないため、今後の交渉の展開が注目される。ボレル上級代表は、「今後数日以内に、セルビア・コソボ間関係正常化案の枠組みに基づく次の段階を議論するため、当事者を招聘する」と述べ、近日中に新たな交渉ラウンドを開始する意向を表明している。
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