
EU、第19次対ロ制裁採択-ロシア産LNG輸入禁止へ
10月23日、欧州連合(EU)理事会(The Council of the European Union)は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する第19次制裁パッケージを採択した。今回の制裁には、初めてロシアのガス部門が対象に含まれ、ロシア産液化天然ガス(LNG)のEU域内への輸入が禁止される。この禁止措置は、短期契約については6ヶ月以内、長期契約については2027年1月1日より発効する。
今回の包括的な新パッケージの一環として、EUはロシアの国営石油生産会社であるロスネフチ(Rosneft)およびガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)に対する既存の取引禁止措置を強化するとともに、ロシアの「影の船団(shadow fleet)」から新たに117隻を制裁対象に追加した。
金融分野では、ロシア政府の支援を受けて開発されたステーブルコイン「A7A5」の開発者、キルギスの「A7A5」発行者、およびその取引プラットフォーム運営者が制裁対象となった。また、Istina、Zemsky Bank、Commercial Bank、Absolut Bank、MTS Bank、Alfa-Bankのロシア銀行5行が新たに取引禁止対象とされたほか、EU域内の事業者がロシアの決済システム「ミール(Mir)」や「SBP(Fast Payments System)」に関与することも禁止された。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、採択後に自身のXアカウントへの投稿で、「我々は侵略者への高い圧力を維持している。初めてロシアのガス部門、その戦争経済の核心を攻撃する」と述べた。
EU Member States have approved our 19th package of sanctions against Russia.
— Ursula von der Leyen (@vonderleyen) October 23, 2025
We’re keeping the pressure high on the aggressor.
For the first time we are hitting Russia’s gas sector – the heart of its war economy.
We will not relent until the people of Ukraine have a just and… https://t.co/HQTknzy2uC
一方、ロシア国営タス通信(TASS)の報道によると、ロシア外務省のザハロヴァ(Maria Zakharova)報道官は同日、EUの対ロシア制裁は実質的にEU自身に不利に作用していると述べ、「我が国への制裁を拡大するブリュッセルの能力は大部分が尽きている」と主張した。
EUによる第18次対ロシア制裁は本年7月に採択されていた。また、これに先立つ10月22日には、米国財務省(U.S. Treasury Department)が、トランプ(Donald Trump)大統領の第2期政権下で初となる対ロシア制裁として、石油大手のルクオイル(Lukoil)およびロスネフチ(Rosneft)への制裁を発表している。
EUのロシア産ガス禁輸措置については、ブルガリアを経由する「バルカン・ストリーム」を通じたロシアからの天然ガス輸入に国内需要の大部分を依存するセルビアが反応しており、EU理事会による禁輸案の承認直後には、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領をはじめとしたセルビア政府首脳部が「セルビアにとって破滅的」「ほとんど絶望的な状況」などと述べて一斉に反応した。
これに対し、コス(Marta Kos)拡大担当欧州員は、「EUの禁輸措置はEU加盟国のみを対象としたものであり、EU域内を経由した第三国へのロシア産ガス供給を妨げるものではない」と述べ、セルビアへのガス供給が断たれるとの言説は虚偽であり、セルビア国内では意図的な誤情報が拡散されていると指摘している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)



































































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