
EIBグローバル、西バルカンなどEU加盟候補国のインフラ整備を優先する方針
10月15日、EUの政策金融機関である欧州投資銀行(European Investment Bank: EIB)の国際開発部門にあたるEIBグローバルは、2025年から2027年における新たな戦略方針を発表し、西バルカン諸国を含む欧州連合(EU)候補国の戦略的インフラプロジェクト支援に注力することを明らかにした。この戦略は、地域の連結性と統合を加速させることを目的としている。
EIBグローバルは、候補国とEUを結ぶ交通回廊、エネルギー網、デジタルインフラへの融資を優先するとしている。同行は、これらのプロジェクトが経済発展、持続可能性の強化、国境を越えた協力に不可欠であると同時に、EUの「グリーンディール」やデジタル移行アジェンダとも整合するものであると強調している。対象となるEU加盟候補国は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モルドヴァ、モンテネグロ、北マケドニア、そしてセルビアである。
新たな戦略では、インフラ整備に加え、健全な財政管理や汚職対策の取り組みなど、拡大対象国における優れた経済ガバナンスへの支援も強化される。また、EU加盟候補国は、現地の民間セクター開発に焦点を当てたEIBの融資を全面的に利用できるようになる。EIBは、加盟候補国に対しては近隣諸国向けの優先事項からさらに踏み込み、民間セクターの成長、イノベーション、生産性の向上も支援の対象に含める方針だ。これにより、候補国はEUの基準に整合するためのオーダーメイドの投資商品やリスク共有メカニズム、技術支援といったEIBの金融ツール一式にアクセス可能となる。
この新戦略は、EU域外諸国の発展を加速させるための貢献を高めることを目指しており、クリーンで安全なエネルギー、交通と連結性、デジタル化、水、保健、人間開発、農業・林業・食料安全保障、重要原材料、民間セクター開発という9つの経済分野に資金が提供される。EIBグローバルは、2025年から2027年の間に年間最大100億ユーロの融資を行い、これにより最大1050億ユーロの新規投資を動員する計画である。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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