
北マケドニア、西バルカン最大の風力発電所建設に着手
7月16日、ルクセンブルクを拠点とする再生可能エネルギー投資会社のアルカサル・エナジー・パートナーズ (Alcazar Energy Partners, AEP) は、北マケドニアにおいて総工費5億ユーロ(約820億円)を投じる400メガワット (MW) 規模の風力発電所の建設を開始した。この「シュティプ風力発電所 (Štip Wind Farm)」は完成すれば西バルカン地域で最大規模となり、同国のエネルギー自給と再生可能エネルギーへの移行を大きく前進させるプロジェクトとなる。
同日、北マケドニア政府とAEPはシュティプ市近郊で起工式を執り行った。北マケドニア政府の公式youtubeチャンネルで公開された動画によれば、AEPの共同設立者兼マネージングパートナーであるダニエル・カルデロン (Daniel Calderon) 氏は式典において、この発電所が55基のタービンで年間1テラワット時 (TWh) の電力を発電し、10万世帯以上の電力需要を賄う能力を持つと説明した。また、建設期間中には約600人の雇用が創出される見込みとされている。
プロジェクトの建設地は、首都スコピエの南東に位置するシュティプ (Štip)、ラドヴィシュ (Radoviš)、カルビンツィ (Karbinci) の三つの自治体にまたがる地域に及ぶ。AEP社プレスリリースなどによれば、この大規模事業の資金は、欧州復興開発銀行 (European Bank for Reconstruction and Development, EBRD) および世界銀行グループの一員である国際金融公社 (International Finance Corporation, IFC) からの融資によって賄われる。
北マケドニア政府プレスリリースによれば、北マケドニアのフリスティヤン・ミツコスキ (Hristijan Mickoski) 首相は、このプロジェクトが新政権の公約実現であり、国のエネルギー自立に向けた政策の始まりであると強調した。石炭火力への依存度が高い同国にとって、この発電所はエネルギーミックスの多様化と二酸化炭素排出量の大幅な削減(年間最大69万トン)に貢献することが期待される。
AEPは、今回のプロジェクトを西バルカン地域全体で進める大規模な再生可能エネルギー投資戦略の一環と位置づけている。同社はこの地域において、合計1.6ギガワット (GW) に上る風力および太陽光発電のプロジェクトパイプラインを保有しており、地域のエネルギー安全保障と気候変動目標の達成を後押しする構えである。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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