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欧州委員会が西バルカン成長計画における第一期投資プロジェクトとして8件のグリーンエネルギー案件を選定

7月1日、欧州委員会(European Commission, EC)は、60億ユーロ規模の「西バルカン成長計画」の下に設立された「改革・成長ファシリティ(Reform and Growth Facility, RGF)」から資金を提供する初の投資案件として、アルバニア、モンテネグロ、セルビアにおける8件のクリーンエネルギープロジェクトに対し、総額8,770万ユーロ(約1億300万ドル)の投資パッケージを選定したことを発表した。

この発表は、北マケドニアの首都スコピエ(Skopje)における、マルタ・コス(Marta Kos)拡大担当欧州委員と西バルカン6カ国の代表者による会合の後に行われた。投資の対象となるのは電力、水力発電、太陽熱利用分野のプロジェクトで、総事業費は4億8,730万ユーロに上る。資金の一部は、インフラプ整備プロジェクトを支援する「西バルカン投資枠組み(Western Balkans Investment Framework, WBIF)」を通じて各国に事前に提供されるRGFの資金が活用される。

欧州委員会が作成した資料によれば、国別の内訳は、アルバニアの3プロジェクトに3,210万ユーロ、モンテネグロの3プロジェクトに1,430万ユーロ、セルビアの2プロジェクトに4,080万ユーロとなっている。

アルバニアでは、国内40カ所の高圧変電所のデジタル化(1,360万ユーロ)、フィエルザ(Fierza)水力発電所の改修第2フェーズ(1,050万ユーロ)、首都ティラナ(Tirana)と西部のラシュブル(Rrashbull)を結ぶ新しい送電線の建設(800万ユーロ)が対象となる。

モンテネグロでは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国境に近いヴィルシ(Vilusi)とクロアチア国境に近い沿岸部の町ヘルツェグ・ノヴィ(Herceg Novi)を結ぶ38kmの送電線建設(310万ユーロ)、スマートメーターによる送電網の更新(500万ユーロ)、北西部のブレズナ(Brezna)変電所の能力増強(630万ユーロ)に資金が提供される。

セルビアでは、西部のポトペツ(Potpeć)水力発電所における新発電ユニットの建設と既存ユニットの改修(1,580万ユーロ)、および北部の都市ノヴィ・サド(Novi Sad)における31メガワットの太陽熱プラントと17メガワットのヒートポンプの建設(2,500万ユーロ)が進められる。

2024年から2027年を対象とするRGFは、約20億ユーロの助成金と40億ユーロの融資で構成され、西バルカン諸国のEU加盟に関連する改革を支援することを目的としている。これまでにセルビア、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロがRGFからの先行資金配分を受けている。コソボは手続き上の条件をまだ満たしておらず、ボスニア・ヘルツェゴヴィナは資金供与の前提として必要とされている改革課題の草案を採択した段階にある。

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現在、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナがEU加盟候補国であり、コソボは2022年12月に加盟を申請している

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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