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セルビア、最低賃金を10月から500ユーロに引き上げ:来年1月以降のさらなる引き上げも計画

7月15日、セルビアの政府、雇用者団体、労働組合で構成される三者協議機関「社会経済評議会」は、月額のネット最低賃金(純手取り額)を現行から9.4%引き上げ、500ユーロ(約584ドル)とすることで全会一致で合意した。この新たな最低賃金は、2025年10月1日から適用される。

セルビア政府プレスリリースによると、今回の決定は、ミリツァ・ジュルジェヴィッチ=スタメンコフスキ(Milica Đurđević Stamenkovski)労働・雇用・退役軍人・社会問題担当大臣によって発表された。セルビアでは通常、最低賃金の改定は毎年1月に行われるが、今回はインフレによる国民の生活費負担増に対応するための異例の年度途中での引き上げとなった。この計画は、5月にアレクサンダル・ヴチッチ(Aleksandar Vulčić)大統領が最初に示唆していた。

参考記事

ジュルジェヴィッチ=スタメンコフスキ大臣によると、現在セルビア国内で約9万人が最低賃金で雇用されている。

社会経済評議会では、今回の臨時改定に続き、2026年1月からのさらなる最低賃金引き上げについても議論された。シニシャ・マーリ(Siniša Mali)財務大臣によると、政府は10.1%の追加引き上げを提案しており、このための本格的な交渉が8月末から9月上旬にかけて開始される予定である。マーリ財務大臣は、2027年末までに最低賃金を月額650ユーロまで引き上げるという政府の長期的な目標も改めて示している。

この賃上げの背景には、継続する物価上昇がある。セルビアの年間消費者物価上昇率(インフレ率)は、2025年5月の3.8%から6月には4.6%へと加速している。貿易省の最新データ(2025年3月時点)によると、最低限の生活を営むために必要な食料品などを含む「最低消費者バスケット」の価格は月額55,528ディナール(約474ユーロ)に達しており、今回の引き上げにより、最低賃金はようやくこの水準をわずかに上回ることになる。

2025年1月にも13.7%の大幅な引き上げが実施されており、今回の決定は、国民の生活水準の維持・向上を重要政策と位置づけるセルビア政府の姿勢を明確に示している。しかし、インフレ圧力も続く中、今後も継続的な賃上げと経済の安定をいかに両立させていくかが課題となる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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