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EU大統領がセルビアを訪問:セルビアの対露姿勢についてEUの立場を改めて表明

5月13日、直近のモスクワ訪問を巡り欧州連合(European Union, EU)当局者から批判を受けているセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、セルビアを訪問した欧州理事会(European Council)のアントニオ・コスタ(António Costa)常任議長(EU大統領)との会談後に共同記者会見に臨み、セルビアはEU加盟にコミットしていると改めて表明した。

公共放送RTS(Radio Televizija Srbije)が配信した映像によると、ヴチッチ大統領は「セルビアの政治的意思は、統合を加速させ、自らの役割を果たすことにある。モスクワ訪問のせいで(EUとの)雰囲気はそれほど良くないと今では確信しているが、欧州で実際の成果に基づく進展が評価されるものと信じている」と述べた。

ヴチッチ大統領は、EUの対ロシア政策と歩調を合わせるよう求める声を事実上無視し、5月9日にモスクワを訪問。第二次世界大戦における対ナチス・ドイツ戦勝80周年を記念する戦勝記念日の軍事パレードに出席し、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とも会談していた。

参考記事

これに対し、コスタ常任議長は会見での発言において、「EUの共通外交・安全保障政策との完全な連携と、二国間問題の解決は、セルビアのEU加盟にとって不可欠な要素である。我々の共通外交・安全保障政策の核心的要素は、ロシアによるウクライナへの残忍な侵略を明確に非難することだ」と述べてEU側の立場を明確に示した。セルビアは2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後も伝統的な同盟国であるロシアと緊密な関係を維持しており、EUがロシアに課したいかなる制裁措置にも同調していない。コスタ議長は、セルビアが加盟への道を進むためには、EUの外交政策に沿った行動をとる必要があると釘を刺した。

また、ヴチッチ大統領は、EU加盟交渉におけるクラスター3(競争力と包摂的成長)の交渉を6月か10月に開始したいとの希望を表明した。これについてコスタ議長は、そのためにはセルビアがメディアの自由、汚職との戦い、そして選挙法の改正に取り組む必要があると指摘した。

セルビアは2012年からEU加盟候補国となっているが、近年、加盟交渉は停滞している。交渉における最後の具体的な進展は2021年12月で、6つに分かれた交渉分野(クラスター)のうち、クラスター4(グリーンアジェンダと持続可能な連結性)が開始された。これまでに開始されたのは、クラスター1(基礎分野)とクラスター4のみとなっている。

(アイキャッチ画像出典:セルビア大統領府)

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