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クラグイェヴァツのイノベーション地区、2号館の建設を開始:南東欧のITハブを目指す

7月14日、セルビア政府は、同国中部の都市クラグイェヴァツ(Kragujevac)で進められている「イノベーション地区」プロジェクトにおいて計画されている3棟のうち、2号館の建設を開始したと発表した。このプロジェクトは、同市を南東ヨーロッパにおけるIT産業の一大拠点へと変貌させることを目指す国家的な戦略事業となっている。

セルビア政府プレスリリースによれば、今回着工された2号館は、総工費1,300万ユーロを投じ、延床面積5,000平方メートルの規模で建設される。完成は2026年末を予定している。政府のIT・電子政府室を率いるミハイロ・ヨヴァノヴィッチ(Mihailo Jovanović)室長によると、この建物は隣接する国家データセンターの商用利用者向けの施設として機能するほか、国家情報セキュリティセンターが設置される予定とされている

イノベーション地区プロジェクトは、セルビアのデジタル化と技術革新を牽引する中核拠点として計画されている。第1号館は2024年2月に着工しており、こちらも国家データセンターの利用者向け施設として、2025年末の完成を目指して工事が進められている。ヨヴァノヴィッチ室長は、地区の中心施設となる3号館の建設も今秋に開始する計画であると明らかにした。

総事業費1億6,800万ユーロが投じられるこのイノベーション地区は、4.5ヘクタールの敷地に総建築面積85,000平方メートルという広大な規模を誇る。完成後は、ビジネスインキュベーター、スタートアップ支援施設、ロボット開発センター、スマートエネルギーシステムを開発するスマートシティセンター、デジタル化推進センター、バイオインフォマティクス・生命工学研究部門、そして科学技術パークなどが集積する予定となっている。

セルビア政府は、このプロジェクトを国家の重要戦略と位置づけており、2025年度から2027年度の国家予算において、IT・電子政府室を通じて78億ディナール(約7,780万ドル)を投じることを計画している。この日の起工式には、ジューロ・マツット(Đuro Macut)首相も出席した。

なお、2024年2月には、本地区の利用に関する覚書が、オランダのソフトウェア開発企業AET社、日本の株式会社東芝、そして国内金融機関のポシュタンスカ・シュテディオニツァ銀行(Banka Poštanska Štedionica)との間で締結されており、国内外からの有力企業の参画も決まっている。

(アイキャッチ画像出典:セルビア政府IT・電子政府室)

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