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日モンテネグロ首脳会談の開催:通訳無しの日本語のみによる異例の首脳会談、今年9月からの査証免除で合意

5月28日、石破茂内閣総理大臣は、大阪・関西万博出席のため公式実務訪問中のモンテネグロのミロイコ・スパイッチ(Milojko Spajić)首相と東京で会談した。この会談で、2025年9月1日よりモンテネグロの一般旅券所持者に対する日本の短期滞在査証(ビザ)を免除することで合意に達した。外務省発表及びモンテネグロ政府発表によれば、この会談は、全編が通訳を介さずに日本語で行われるという異例の形式となった。

歴史的な「日本語会談」と個人的な信頼関係

官邸で行われた会談およびワーキング・ランチは、かつて国費留学生として日本に滞在したスパイッチ首相の卓越した日本語能力により、終始日本語のみで進められた。石破首相は、この異例の形式に深く感銘を受けたことを表明。「我々の歴史において、外国の要人との会話が日本語で行われたのはこれが初めてだ」と述べた。さらに、スパイッチ首相が10年以上前に執筆した論文を読んだと明かし、「あなたの洞察力に深く感銘を受けた。モンテネグロは、あなたのビジョンを支える真の友をここ日本に得た」と語りかけ、両首脳間に個人的な信頼関係が築かれたことを示した。

これに対しスパイッチ首相は、温かい歓迎に感謝を述べ、「今回の訪日を通して両国の友好関係に新たな段階を開きたい」と応じた。また、モンテネグロが法の支配や民主主義といった価値を日本と共有しており、自由で開かれた国際秩序を目指す日本のビジョンを支持する姿勢を明確にした。

査証免除と経済協力の加速で一致

会談における最大の成果は、2025年9月1日からモンテネグロ国民に対する短期滞在査証を免除するという日本の決定であった。石破首相からこの方針が正式に伝達され、両首脳は、この措置が両国間の人的交流を飛躍的に促進させることへの期待で一致した。

経済協力の強化も主要な議題となった。スパイッチ首相は、モンテネグロが過去1年半をかけて大規模なインフラプロジェクトの準備を進めてきたと説明し、エネルギー、グリーン技術、インフラ、観光といった分野での高い投資潜在性をアピールした。石破首相は、モンテネグロのEU加盟交渉の進展を評価し、今後も「西バルカン協力イニシアティブ」の下で同国のEU加盟プロセスを継続的に支援していくと述べた。

さらに、長年の懸案であった駐日モンテネグロ大使館の東京開設についても、年末までの具体的な進展を目指し、両国で活動を加速させることで合意した。

国際情勢での連携強化

両首脳は、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの認識を共有。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化するため、幅広い分野で連携していくことで一致した。特に、日本とNATOとの協力関係においても両国で連携していくことを確認し、ウクライナへの強い支持を改めて表明した。

今回の首脳会談は、知日派であるスパイッチ首相と日本のトップとの間で築かれた信頼関係を土台に、査証免除という画期的な合意と大使館開設の加速という具体的な成果を生み出した。両国関係は、これを機に経済・人的交流のあらゆる面で深化していくことが期待される。

(アイキャッチ画像出典:外務省ウェブサイト)

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